ヘアスタイルは髪の毛の積み重なりによってできています。
お客様ごとに頭の形は違うので、同じように切っても積み重なり方はそれぞれ違ってきます。
その上で長さを決めて、髪の毛を積み重ねてシルエットを作るのです。
そこにツムジがあり、毛流があり、生えぐせがあり、クセもある。
これらの要素をひとつひとつを見極めて、一切り一切りを丁寧に積み重ねる。
髪の毛や骨格といった素材を無視して切られたヘアスタイルは当然収まりが悪くまとまりません。
だからこそ素材に合わせて切ることで骨格に滑らかに馴染み、よりその人にヘアスタイルが身体の一部としてフィットすると思うのです。
美容師は髪の毛や骨格と無言の会話ができなくてはいけません。
目の前のお客様と楽しく話してるだけじゃその人にフィットしたヘアスタイルを切ることはできないですからね。
お客様の髪の毛や骨格のことを考えて切られたヘアスタイルは、カット中に一生懸命に話したことよりも美容師の気持ちをお客様に伝えてくれるものです。
そんなことを思いながら今日もハサミを握っています。